消費税・法人税など税金をクレジットカードで支払うメリットと納税方法を解説
会社を経営していると、消費税や法人税などの税金を支払うことになります。
「税金の支払いは現金」というイメージを持っている方もいますが、実はこれらの税金はクレジットカードで支払うことができます。
法人の税金をクレジットカードで支払うことで、ポイントが還元され実質的に節税になる、税務署や銀行窓口に行かず24時間いつでも納税ができるなどのメリットがあります。
この記事では、法人にかかる税金をクレジットカードで支払うメリットや具体的な納税方法、おすすめの法人カードなどを紹介します。
目次[非表示]
- 1.クレジットカードで支払いができる法人の税金の種類
- 2.消費税などの税金をクレジットカードで支払うメリット
- 2.1.ポイント還元で実質的に節税になる
- 2.2.税務署や銀行窓口に行かなくていい
- 2.3.税金の支払いの管理が簡単になる
- 2.4.キャッシュフローに余裕が生まれる
- 2.5.分割払いが可能になる
- 3.税金をクレジットカードで支払う場合のデメリット・注意点
- 3.1.決済手数料がかかる
- 3.2.領収書が発行されない
- 3.3.地方税は対応していない場合もある
- 4.クレジットカードで法人の税金を支払う方法
- 4.1.支払いの手順
- 4.2.対応のクレジットカード
- 5.おすすめの法人カード3選
- 6.【まとめ】税金の支払いはクレジットカードで!
クレジットカードで支払いができる法人の税金の種類
2024年6月現在、クレジットカードで支払いができる法人の税金は、全部で29種類あります。
<クレジットカードで支払いができる法人の税金の一例>
- 申告所得税及び復興特別所得税
- 消費税及び地方消費税
- 法人税(連結納税を含む)
- 地方法人税(連結納税を含む)
- 相続税
- 贈与税
- 源泉所得税及び復興特別所得税
- 源泉所得税
- 申告所得税
- 復興特別法人税(連結納税を含む)
- 消費税
- 酒税
- たばこ税
- たばこ税及びたばこ特別税
- 石油税
- 石油石炭税
- 電源開発促進税
- 揮発油税及び地方道路税
- 揮発油税及び地方揮発油税
- 石油ガス税
- 航空機燃料税
- 登録免許税(告知分のみ)
- 自動車重量税(告知分のみ)
- 印紙税
- 国際観光旅客税
2017年1月から、国税はすべて、地方税は一部がクレジットカードで支払い可能です。
なお、個人向けのクレジットカードでも、これらの法人の税金を支払うことはできます。
ただし、個人向けのクレジットカードだと納付税額が多くなり利用限度額を圧迫してしまう、もしくは上限に達して支払いができないことが考えられます。
そのため、法人の税金の支払いは、利用限度額が高い法人カードで支払うのがおすすめです。
消費税などの税金をクレジットカードで支払うメリット
消費税など法人にかかる税金をクレジットカードで支払うメリットには、以下のような点が挙げられます。
- ポイント還元で実質的に節税になる
- 税務署や銀行窓口に行かなくていい
- 税金の支払いの管理が簡単になる
- キャッシュフローに余裕が生まれる
- 分割払いが可能になる
ポイント還元で実質的に節税になる
法人カードも個人向けクレジットカードと同様に、利用金額に応じてポイントが還元されます。
法人カードの平均的なポイント還元率は0.5~1.0%程度、高還元率の法人カードであれば2.0%を超える場合もあり、ポイントはマイルなどに交換できます。
どうしても支払わなければいけない税金で、交通費などをまかなえるポイントが貯まるため、クレジットカードで支払うことで実質的に節税になります。
納付税額が多くなるほど還元されるポイントも多くなるため、利益の大きい会社ほどクレジットカードで支払うメリットが大きくなります。
税務署や銀行窓口に行かなくていい
税金をクレジットカードで支払う方法は後述しますが、「国税クレジットカードお支払サイト」という専用サイトからオンラインで支払いができます。
Webサイト上での支払いのため、税務署や銀行窓口まで足を運んで支払う必要がありません。
現金を持ち歩く必要もなくなるため、窃盗や紛失などのあらゆるリスクを軽減することも可能です。
加えて、24時間365日いつでも支払いが可能なため、多忙な業務の合間を縫って納税しなくても済みます。
なお、税金を税務署や銀行窓口でクレジットカード払いすることはできませんので、ご注意ください。
税金の支払いの管理が簡単になる
税金や経費など、現金での支払いが増えると、管理や清算が煩雑になりがちです。
特に法人の税金は種類も多く、現金で支払っていると領収書をまとめるなどの作業が必要となります。
すべての税金をクレジットカードで支払っていると、自分や経理担当者で管理する場合はもちろんのこと、税理士に依頼している場合もカードの利用明細書を渡すだけで管理が可能です。
キャッシュフローに余裕が生まれる
クレジットカードは翌月以降にまとめて利用代金を支払うため、納税のタイミングで現金がなくても支払いが可能です。
そのため、現金の支払いが後ろ倒しになるため、キャッシュフローに余裕が生まれます。
特に中小零細企業の場合、キャッシュフローに課題を抱えていることが少なくないため、高額になりがちな納税で現金の準備を後ろ倒しできるのは大きなメリットになります。
法人カードは、締め日と支払日の間(キャッシュフロー)が長く設定されていることも多いため、顧客からの入金を待ってから納税分の現金を用意することも可能です。
分割払いが可能になる
クレジットカードによっては支払い後に分割払いやリボ払いに変更することも可能です。
現金での支払いの場合、税金の支払いを分割にすることはできないため、現金一括で全額を支払わなければいけません。
キャッシュフローが悪く、どうしても現金が用意できない場合は、税金を複数回に分けて支払うこともクレジットカードであれば可能です。
税金をクレジットカードで支払う場合のデメリット・注意点
基本的にはメリットの多い税のクレジットカード払いですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 決済手数料がかかる
- 領収書が発行されない
- 地方税は対応していない場合もある
決済手数料がかかる
クレジットカードで税金を支払う場合、納付税額に応じて決済手数料がかかります。
決済手数料は以下のとおりです。
納付税額 |
決済手数料 |
---|---|
1~10,000円 |
83円 |
10,001~20,000円 |
167円 |
20,001~30,000円 |
250円 |
30,001~40,000円 |
334円 |
40,001~50,000円 |
418円 |
多くのクレジットカードは、ポイント還元率が0.5%~1.0%、事業用カードの場合は0.5%のことが多いため、カードを上手に選ばなければ決済手数料のほうが上回ってしまいます。
国税クレジットカードお支払サイトでは、納付税額ごとの決済手数料を計算できますので、事前に確認してみてください。
領収書が発行されない
税金をクレジットカードで支払うと、領収書が発行されません。
例えば、自動車の車検には自動車税の領収書が必要なため、クレジットカードで支払っている場合は税務署の窓口で納税証明書の発行を申請しなければいけません。
申請から発効まで2週間ほどかかるため、納税のタイミングが車検に近い場合は税務署や銀行窓口などで納付するようにしましょう。
地方税は対応していない場合もある
国税はすべてクレジットカード払いに対応していますが、地方税はカード払いに対応していない場合もあります。
例えば、固定資産税をクレジットカードで支払えるのは、以下のように限られた自治体のみです(2024年6月現在)。
- 東京都23区
- 北海道札幌市
- 宮城県仙台市
- 栃木県宇都宮市
- 埼玉県さいたま市
- 千葉県千葉市
- 神奈川県川崎市
- 静岡県静岡市
- 愛知県名古屋市
- 京都府京都市
- 大阪府大阪市
- 愛媛県姫路市
- 広島県広島市
- 福岡県福岡市 など
支払いが必要な地方税の種類によって異なりますが、法人が支払うすべての税金でクレジットカードが使えるわけではありません。
支払い義務のある地方税がクレジットカード払いに対応しているかは、各市区町村の役所やホームページでご確認ください。
クレジットカードで法人の税金を支払う方法
法人の税金をクレジットカードで支払うには、「国税クレジットカードお支払サイト」という専用サイトを利用します。
ここでは、国税クレジットカードお支払サイトでの支払い手順と、対応しているクレジットカードについて紹介します。
支払いの手順
法人の税金のクレジットカード払いは、以下の手順で行います。
- 税金の納付書を手元に用意する
- 「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスする
- 氏名、住所、電話番号、納付先税務署などを入力する
- 納付する税目を選択し、課税期間や納付税額を入力する
- クレジットカード情報とメールアドレスを入力する
- 入力内容を確認し「納付」ボタンを押せば納付完了
- 納付情報が表示されるため、必要に応じて印刷やPDFファイルで保存する
対応のクレジットカード
国税クレジットカードお支払サイトに対応しているクレジットカードは、以下の国際ブランドのカードです。
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners Club
- TS CUBIC CARD
国税クレジットカードお支払サイトは、トヨタファイナンス株式会社が国税庁から受託して運営しているため、5大国際ブランドに加えてTS CUBIC CARDも利用できるようになっています。
おすすめの法人カード3選
若干の手数料がかかり、領収書が発行されないなどデメリットも少しある税金のクレジットカード払いですが、基本的にはメリットのほうが大きいためカード払いをおすすめします。
法人カードをすでに持っている場合はそのカードで問題ありませんが、法人カードをまだ持っていないという場合はこの機会にぜひ法人カードを作ってみてはいかがでしょうか。
法人カードを選ぶ際には、申し込み基準・年会費・ポイント還元率・キャッシュフローなどに注目するのがポイントです。また、出張が多い会社の場合は、付帯保険の充実度も重要なポイントになってきます。
ここでは、数ある法人カードからおすすめの3枚を厳選し、特徴などを解説します。
1. JCB法人カード
<JCB法人カードの特徴>
- 常時0.5%のポイント還元率、利用金額に応じて最大1.5%までアップ
- 業界初の「サイバーリスク総合支援サービス」・「サイバーリスク保険」付帯!
- ETCカードが年会費無料で複数枚発行可能!従業員用にピッタリ!
- 旅行傷害保険は国内外問わず最大3,000万円の補償!(利用付帯)一般ランクで一番高額な保険が付帯!
- 人気会計ソフト「弥生会計」・「会計freee」・「ソリマチ」とAPI連携可能で業務効率化が可能!「弥生会計オンライン」は2年間無料で利用可能!
JCB法人カードは、JCBが発行する法人用のプロパークレジットカードです。個人事業主用のJCB CARD Bizというカードもあります。
従業員用やETCカードの複数枚発行可能で、年会費を抑えつつ、従業員用カードの発行を検討している企業向けには特におすすめの法人カードです。
設立間もない企業や新規個人事業主も申し込み可能で基本のポイント還元率は0.5%ですが、カード利用額に応じて還元率がアップしていくのが特徴です。
「ANA Biz」や「JCB de JAL ONLINE」といったANAやJALの法人向けのインターネット出張手配システムやコワーキングスペース、福利厚生サービスの優待など、ビジネスに役立つ特典が豊富です。業界初のサイバーリスク総合支援サービス付帯で国内ブランドJCBならではの安心・安全なカードです。
年会費(初年度) |
無料 |
年会費(2年目以降) |
1,375円(税込) |
国際ブランド |
JCB |
ポイント還元率 |
0.5%~1.5% |
申込対象 |
法人または個人事業主 |
付帯サービス |
「弥生会計オンライン」2年間無料で利用可能、ビジネス特典多数 |
追加可能なカード |
・ETCカード(発行手数料無料・年会費無料)
・追加カード(年会費1,375円(税込)・初年度無料)
|
2. セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
► 公式サイトを見る
<セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードの特徴・ポイント>
- 最高クラスの保険と多様なサービスが付帯!
- ホテルやレストランの紹介や手配をしてくれる「トラベル&コンシェルジュ・サービス」が利用可能!
- 国内外のVIPラウンジを利用できるプライオリティパスの利用が無料!
- ビジネスで使う様々なサービスを優待価格で利用可能!
- 本家アメックスと比べるとステータス性は劣る
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、セゾンとアメックスが提携して発行している法人カードです。付帯サービスが充実しているのが特徴で、トラベル&コンシェルジュ・サービスやプライオリティパス、ホテルやレストランの優待などが利用できます。
また、最大1億円の海外旅行保険も付帯しているため、海外出張でもしものトラブルが発生した際も安心です。
ただし、本家アメックスと呼ばれるアメリカン・エキスプレス・プラチナ・カードと比較すると、メタルカードではなかったり年会費が安いなど、ステータス性は劣ってしまいます。
年会費(初年度) |
無料 |
年会費(2年目以降) |
22,000円(税込) |
国際ブランド |
AMEX |
ポイント還元率 |
0.5%~1.0% ※
|
申込対象 |
個人事業主または経営者の方※会社員OK、副業の方もOK |
付帯サービス |
会計ソフト「freee」が最大3ヵ月間無料、ビジネス特典多数 |
追加可能なカード |
・ETCカード(発行手数料無料・年会費無料) ・追加カード(年会費3,300円(税込)) |
※永久不滅ポイントは通常1,000円(税込)のご利用毎に1ポイント貯まります。
※1ポイント最大5円相当のアイテムと交換の場合となります。
※交換商品によっては、1ポイントの価値は5円未満になります。
3. ラグジュアリーカード 法人ゴールドカード
► 公式サイトを見る
<ラグジュアリーカード 法人ゴールドカードの特徴・ポイント>
- ポイント還元率が驚異の1.5%と非常に高い!
- 24金コーティングされた金属製カード!
- アプラスモールの利用でさらにポイント還元率がアップ!
- 最大1億2000万円の海外旅行保険が付帯!
- 年会費が22万円と非常に高額
ラグジュアリーカード法人ゴールドカードは、年会費が22万円と非常に高額ながら、ポイント還元率が常時1.5%というトップクラスのポイント還元率を誇る法人カードです。
年会費が高い分、高額なカード決済を利用する法人でなければ特になることはありませんが、クレジットカードを使って仕入れをする方や、海外出張の多い方などには大きなメリットがあります。
また、カードは重厚感のある金属製で、さらに24金コーティングされているため、他のクレジットカードとは一線を画します。ただし、やはり22万円の年会費は高額で、見た目も派手なことから、使う人を選ぶクレジットカードということもできます。
年会費(初年度) |
220,000円(税込) |
年会費(2年目以降) |
220,000円(税込) |
国際ブランド |
Mastercard |
ポイント還元率 |
1.5% |
申込対象 |
満20歳以上の法人、団体等の代表者または個人事業主 |
付帯サービス |
国内外の旅行保険は最大1.2億円補償、ビジネス特典多数 |
追加可能なカード |
・ETCカード(発行手数料無料・年会費無料) ・追加カード(年会費55,000円(税込)) |
【まとめ】税金の支払いはクレジットカードで!
法人の税金をクレジットカードで支払うことにより、以下のようなメリットがあります。
- ポイント還元で実質的に節税になる
- 税務署や銀行窓口に行かなくていい
- 税金の支払いの管理が簡単になる
- キャッシュフローに余裕が生まれる
- 分割払いが可能になる
すべての税金がクレジットカードで支払うことができるわけではありませんが、国税ならすべて、地方税も都市部であれば多くの税金がカード払いに対応しています。
税金をクレジットカードで支払うと決済手数料がかかってくるため、高ポイント還元率の法人カードを選ぶのがお得に税金を支払うためのポイントです。
法人カードをまだ持っていない場合は、ぜひこの機会に法人カードを作ってみてはいかがでしょうか。